概要
本稿は、「Corda Open Source Software(OSS)」と「Corda Enterprise(CE)」の機能比較をした 「 Corda and Corda Enterprise 」を翻訳したものです。
Corda Open Sourceとの違いおよびミッションに関してご理解いただければ幸いです。
Corda Enterpriseの使命
Cordaはその特有の方法で、プライバシーを守りながら、当事者間での直接的な価値の取引を可能にします。
そして、もちろんOSSバージョンの成功は、R3の達成すべき使命であることに変わりはありません。OSSバージョンには、開発者のノウハウとコア機能を詰め込まれているため、皆様はCordaアプリケーションを迅速に構築することができ、実用化への模索の中でCordaの価値を迅速に実証できます。
組織がブロックチェーンソリューションの実現という旅路を進めるにあたり、そのソリューションを採用する際には、Cordaアプリケーション(CorDapps)に最適なデプロイメント・プラットフォームを慎重に検討しなければなりません。
企業の IT チームやネットワーク関係者の皆様は、CorDapps が処理するビジネスプロセスやトランザクションの複雑さやミッションクリティカルな性質に応じて、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス、既存の IT 環境内での導入の容易さなどの保証を求めているのではないでしょうか。
この保証を提供するために、R3は「Corda Enterprise」を開発しました。 CEバージョン は、スケーラビリティ、相互運用性、トランザクションのプライバシーといった OSSバージョン と同じ仕組みを有しています。加えてCEバージョンには、より高い回復力、洗練されたパフォーマンス、セキュリティの向上、運用ツールが追加され、大規模サービスにも対応できるサポートをご用意しています。
Corda Enterpriseを検討すべきなのは…?
高い信頼性と回復性が必要不可欠なミッションクリティカルシステムに従事されている皆様
1.サービスの保証、事業継続性の保証、ダウンタイムの最小化をお求めですか?
2.データの完全性を保証するコンプライアンス要件によって管理されていますか?
3.SLAを満たすための、24時間体制のサービスとサポートが必要ですか?
4.修正パッチなしでの本番ソフトウェアを運用することにご不安はないでしょうか?
アプリケーション、ノード、ネットワークのデプロイと管理を簡素化できる運用ツールをお求めの皆様
1.プラットフォームのデプロイ、監視、管理がより簡単にできるような運用ツールをご所望ですか?
2.ノードデータベースを作成して管理するような強力な権限は権限をご所望ですか?
3.接続状態やノードやネットワークの健全性を確認できる運用レポートをご所望ですか?
より高いスループットとより速いトランザクションをお求めの皆様
1.オープンソースバージョンで今後、ネットワークのボリュームを運用できますか?
2.より高いスループットに加えて、チューニング機能はご所望ですか?
3. 現在のデプロイメントは、ネットワークのボリューム、またはトランザクション検証に必要な速 度をサポートしていますか?
セキュリティの脅威から身を守るための、堅牢なインフラをお求めの皆様
1.秘密鍵の保管や所有権に対するより確実な保証をお求めですか?
2.ビジネス全体のノード管理に関する強力なユーザー権限が必要ですか?
3.大切な情報を守るためのブロックチェーン・ファイアウォールはお求めですか?
これらに共感いただきましたら、ぜひともCorda Enterprise(評価版)の導入をご検討ください。
(90日間のトライアルライセンスもございます)
OSSとCEの機能比較
Core機能
Cordaは、素早いサービス化を目的とした使いやすい開発プラットフォームを、アプリケーション開発者に提供します。
特徴 | Open Source | Enterprise |
---|---|---|
Corda元帳–ピアツーピアのトランザクションレベルのプライバシー | 〇 | 〇 |
フローフレームワーク - マルチパーティのビジネスプロセスとコミュニケーションを簡素化します。 | 〇 | 〇 |
不変のステート - 一貫性と信頼性のある共有事実 | 〇 | 〇 |
Vault – ステートとコントラクトのノード固有のストア | 〇 | 〇 |
スマートコントラクト - 実行可能なコードとライブラリ | 〇 | 〇 |
アトミックトランザクション(入力、出力、参照ステートを含む ) | 〇 | 〇 |
1つのノードで複数のアカウントを使用する(Accounts SDK ) | 〇 | 〇 |
サポート言語 | kotlin,java | kotlin,java |
標準のCorda APIs | 〇 | 〇 |
あらゆるコルダネットワークとの互換性を保証(コルダネットワークを含む ) | 〇 | 〇 |
トークン化のための標準ツールキットとライブラリ (Token SDK) | 〇 | 〇 |
デプロイメント
Corda Enterpriseは、オペレータノード、ネットワーク、およびエンドユーザーノードを実行するためのより多くのオプションを提供し、迅速なTime to Valueをサポートし、サービスデプロイへのハードルを取り除くことができます。
特徴 | Open Source | Enterprise |
---|---|---|
オンプレミス | 〇 | 〇 |
維持されたクラウドテンプレート(Azure、AWS ) | 〇 | 〇 |
コンテナ化 - 再現性の高いノードデプロイを容易に実現するためのDockerのサポート | 〇 | 〇 |
コンテナオーケストレーション - ノードクラスタを効率的に管理するためのKubernetesのサポート |
✕ |
〇 |
運用
Corda Enterpriseは、ノード、フローおよびミッションクリティカルなビジネスプロセスを保守、監視し、トラブルシューティングを行うための高い運用能力を有しています。
特徴 | 要約 | Open Source | Enterprise |
---|---|---|---|
エンタープライズグレードの元帳の復元力 |
|||
HA(高可用性)ノードの展開 | 高可用性ノードにより、ダウンタイムを排除し、台帳上のデータの損失、破損、重複から保護 | × | 〇 |
Ledger Sync | 本番ネットワークにおけるエンタープライズグレードDRのためのネットワークピアからの欠損元帳データの診断能力 | × | 〇 |
External Artemis MQ | ノードとは別にメッセージブローカを実行する機能、またはHAセットアップのために複数のブローカを同時に実行する機能 | × | 〇 |
Multi-node use of a shared external Artemis MQ and a shared Corda firewall | セットアップと共有インフラストラクチャの回復力を高め、ITのオーバーヘッドを削減 | × | 〇 |
エンタープライズデータベースサポート |
|||
PostgreSQL | Corda と Corda Enterprise のための標準化されたデータベースで、インプレースアップグレードをサポート | 〇 | 〇 |
SQL Server | すぐに使えるデータベーススキーマの相互運用性のための統合とメンテナンス | 検証環境のみ | 〇 |
Oracle | すぐに使えるデータベーススキーマの相互運用性のための統合とメンテナンス | × | 〇 |
ノードオペレータの保守・監視ツール |
|||
Node health check survey | ノードオペレータの健全性調査によるノードとネットワークインフラストラクチャの接続性のチェックと自動化されたセキュリティ警告により、確実な展開と監視を実現 | × | 〇 |
Configuration obfuscation tool(難読化ツール) | 設定ファイル内の機密情報を隠すためのシンプルで迅速な方法を提供 | × | 〇 |
ノータリーの復元と統合 |
|||
Simple notary | 単一のノータリーサービス | 〇 | 〇 |
Clustered notary service | ノータリーのクラスタ化 | × | 〇 |
Oracle RAC connectivity | オラクルの分散型HAデータベースを標準サポート | × | 〇 |
CockroachDB connectivity | 導入が簡単で高性能な分散型データベースをサポートし、パフォーマンスの向上を実現(毎秒数千件のトランザクションを公証可能) | × | 〇 |
セキュリティ
Corda Enterpriseは、堅牢なインフラストラクチャと機能により、セキュリティの脅威から保護し、秘密鍵を安全に保存します。
特徴 | 要約 | Open Source | Enterprise |
---|---|---|---|
Java KeyStore file | ファイルシステムにキーを保存 | 〇 | 〇 |
Hardware Security Module (HSM) support | R3が標準でサポートしている統合機能を備えた主要なHSMに秘密鍵を保存する機能。オペレータに優れたセキュリティと回復力を提供します。鍵がノードが稼働しているマシンに直接さらされることはなく、HSMのバックアップシステムを通じて保護することができます。 | × | 〇 |
Corda firewall | インバウンド接続を処理するための専用コンポーネントで、組織の非武装地帯内で実行することができ、Corda ノードへの攻撃対象を減らすことができます。 | × | 〇 |
パフォーマンス
Corda Enterpriseは、ツールとアップグレードにより、最適な本番環境を提供し、時間をかけてチューニングし、ビジネスネットワークに合わせて拡張することができます。
特徴 | 要約 | Open Source | Enterprise |
---|---|---|---|
Dynamic database caching | データベースオブジェクトを自動的にキャッシュしてパフォーマンスを向上させる機能 | ✕ | 〇 |
Multi-threaded flow state machine | 複数のCorDappフローを並列に実行し、パフォーマンスを向上 | × | 〇 |
Performance Testing Suite | 最適化を支援するために、あらゆるフローのベンチマークを実現 | × | 〇 |
Parallel platform flow execution | 一般的に使用されているプラットフォームフローを並列化し、より高いスケーラビリティを実現 | × | 〇 |
サポート
プロダクションと付加価値創出の過程において、皆様の要件を満たすために、さまざまなサポートをご用意しています。
特徴 | 要約 | Open Source | Enterprise |
---|---|---|---|
Developer mailing lists, Public slack (no SLA) | 公開チャンネルでのDevRelサポート | 〇 | 〇 |
Software maintenance | ホットパッチとバグフィックスを標準で提供 | × | 〇 |
Support by R3 Technical Support Engineers | 技術的な問題のための24時間365日のサポート | × | 〇 |
Professional Services |
ノード、ネットワーク、アプリケーションの設計、開発、市場投入、テスト、展開をサポートするパッケージ化された付加価値サービスを提供 |
詳細につきましては、アカウント・マネージャーにご連絡の上、利用可能なサービス一式をご確認ください。 |
Created by: Kazuto Tateyama
Last edited by: Kazuto Tateyama
Updated: 2020/09/01